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CASE STUDY半導体製造CMP(化学機械研磨)装置ヘッドパーツへのふっ素樹脂PFAコーティング適用|スラリー固着防止と優れた清掃性で、ウエハのキズ不良低減と安定稼働を実現

2026.07.21

導入背景・課題

スラリーの固着・乾燥によるウエハへのキズ不良防止と、過酷な薬品環境への対策

半導体製造の前工程において、シリコンウエハの表面を原子レベルで平坦に仕上げるCMP(化学機械研磨,Chemical Mechanical Polishing)工程は、デバイスの微細化・多層化に伴い、歩留まりを左右する最重要プロセスの一つです。本事例は、高度な制御が求められる半導体製造用CMP装置を開発・製造されている装置メーカー様における表面改質・改善事例です。

CMP工程で使用される「スラリー(研磨剤)」は、一般的にはアルカリ性溶液に微細な研磨粒子(コロイダルシリカなど)を分散した懸濁液です。このスラリーを随時供給しながら、回転する研磨パットをウエハ表面へ押し当て、ポリッシングを行います。しかし、スラリーの化学的特性や装置稼働時に激しく飛散するスラリーの挙動によって重大なトラブルが発生するため、ヘッドパーツ等の表面処理技術には以下の機能が強く求められています。

CMP工程に求められる表面処理の機能

  • 飛散スラリーの付着を防ぐ「優れた撥水性」

    CMP工程では、部品に付着した研磨液(スラリー)が乾燥して固着し、その塊が脱落して研磨面に巻き込まれると、ウエハ表面に致命的なスクラッチ傷(引っかき傷)を作ります。そのため、周辺部品の表面処理にはスラリーをはじく高い撥水性が不可欠です。表面処理によって液溜まりや固着を未然に防ぐことで、ウエハのキズ(欠陥)発生を徹底的に抑え、CMPプロセスの製造歩留まり向上に大きく貢献します。

  • 日常清掃の手間を減らす「清掃性」

    クリーンルーム内は厳格な汚染管理が求められるため、日常的な装置清掃メンテナンスにかかる作業負荷が大きな課題となります。特にCMP工程周辺の部品には、付着したスラリーを容易に水洗いや拭き取りで除去できる高い清掃性が必要です。

  • 過酷な薬品環境に対する「耐薬品性・耐食性」

    半導体製造の各工程のうち、特に洗浄や研磨工程では、強酸や強アルカリ、有機溶剤などの激しい腐食性薬品が頻繁に使用されます。そのため、周辺部品にはこれら過酷な薬品環境から基材を保護する極めて高い耐食性が求められます。

  • 異物混入を抑える「清純性(高純度)」

    半導体製造ではナノレベルの微細回路を形成するため、微量な金属イオン(金属異物)の混入が極めて厳しく忌避されます。コーティング材料自体からの溶出や部品からの金属飛散は、ウエハの絶縁破壊やリーク電流といった致命的な動作特性不良を引き起こします。表面処理の徹底した高純度化によって金属イオンの放出を完全に遮断することが重要となります。

製品提案・仕様概要

耐食性と非粘着性を両立する「ふっ素樹脂 PFAコーティング」による最適な仕様選定

CMP装置ヘッドパーツに求められる「スラリーの付着防止」、「固着したスラリーの清掃容易性」、「過酷な薬品環境に対する耐薬品性・耐食性」、「金属イオンなどの混入防止」などの特性を、同時にクリアできる表面処理として、当社は「ふっ素樹脂 PFAコーティング」を選択しました。

ふっ素樹脂 PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)は、優れた化学的安定性と表面特性を持つふっ素樹脂の一種であり、本仕様には以下のような特長があります。

ふっ素樹脂 PFAコーティングの主な仕様と特長

  • 極めて優れた撥水性(低表面エネルギー)

    PFAは極めて低い表面エネルギーを持つため、水や油、そしてCMPスラリーを強力にはじく優れた撥水性(非粘着性)を発揮します。これにより周辺部品にスラリーが付着しても表面で弾かれ、乾燥・固着するのを未然に防ぎます。スラリーの付着・堆積を軽減し、固着した研磨剤の塊が脱落して研磨面に巻き込まれるリスクの解消に繋がります。

  • 優れた非粘着性による清掃容易化

    PFAコーティングの滑らかな表面と強力な非粘着性(難付着性)は、日常のメンテナンス性を劇的に向上させます。付着したスラリーや汚れが表面に強固に固着しにくいため、軽めの水洗いや拭き取りだけで容易に除去が可能です。クリーンルーム内の厳格な環境管理下において、清掃作業の手間と時間を最小限に抑制します。

  • 卓越した耐薬品性・耐食性

    PFAはほぼすべての化学薬品に対して極めて高い耐薬品性(化学的安定性)を持っています。CMP工程で使用される強酸や強アルカリ、各種化学薬品に晒されても、表面が侵されたり劣化したりすることがありません。過酷な薬品環境から基材(部品)を保護できるため、部品の腐食や基材成分の溶出を徹底的に防止し、装置の大幅な長寿命化により保守頻度を低減します。

  • ふっ素樹脂 PFAの清純性・非溶出性

    PFAは分子構造が極めて安定しており、コーティング材料自体に金属触媒や添加物をほとんど含まないため、高い清純性を誇ります。プロセス中に懸念される材料自体からの微量な金属イオン溶出やアウトガスの発生がほとんどありません。ウエハへの金属汚染による絶縁破壊やリーク電流などの動作特性不良を起こりにくくできるため、最先端の微細な半導体製造プロセスにおいても安全で理想的な仕様となります。

導入効果

スラリーの固着が劇的に減少!清掃作業の効率化と装置部品の標準ラインナップ化を実現

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CMP装置ヘッドパーツに当社の「PFAコーティング」を実機テストいただいた結果、要求されていたすべての性能で高い評価をいただき、課題解決に大きく貢献いたしました。

PFAコーティング導入による具体的な改善効果

  • スラリーの固着が激減し、ウエハのキズ不良を抑制

    ヘッドパーツ表面の撥水性が劇的に向上したことで、飛び散ったスラリーが表面に滞留して乾燥・固着する現象がほぼゼロになりました。スラリーの塊が脱落して巻き込まれるトラブルが解消され、ウエハのキズ発生率(スクラッチ不良)が大幅に低下。研磨プロセスの安定性と良品率が飛躍的に向上しました。

  • メンテナンス性の向上(MTBF向上)

    「固着しても簡単に清掃できる」という現場の要求通り、付着したスラリーの清掃にかかる時間と負荷が劇的に改善されました。軽く洗い流すだけでスラリーをきれいに除去できるため、クリーンルーム内でのメンテナンス作業時間が大幅に短縮され、装置の稼働率向上に寄与しています。

  • 部品の「標準ラインナップ」への採用、および他カバー部品等への水平展開

    今回の導入効果が高く評価され、PFAコーティング処理を施したヘッドパーツは、装置メーカー様の「公式標準パーツ(標準仕様)」として正式にご採用いただくこととなりました。さらに、この優れた非粘着・清掃性能が横展開され、スラリーが飛散しやすい周辺のカバー部品等、装置内の他パーツへも採用が拡大。装置全体の信頼性向上と、メンテナンス負荷低減に貢献しています。

採用されたコーティングブランド

PFAコーティングは、過酷な耐薬品性能と最高峰の非粘着・離型性能を両立した、半導体・化学プラント等に最適な表面処理技術です。CMP装置のスラリー固着防止をはじめ、薬液の流路部品や耐食カバーなど、厳しい品質管理と信頼性が求められる半導体製造工程において、抜群の耐久性と高い清掃性を発揮します。

お問い合わせ・技術相談

CMP工程でこんなお悩み・ご相談はございませんか?
  • スラリーや薬液の固着してしまって、スクラッチ傷による歩留まり落ちに困っている
  • ヘッドや周辺部品など金属部品の薬液腐食による劣化を抑えたい
  • 日常の清掃が大変…、メンテナンスの手間・頻度を減らして生産効率を上げたい

当社では、今回ご紹介したCMP装置だけでなく、前後の洗浄・エッチング工程や薄膜形成工程、搬送系など、高度なクリーン性と耐久性が求められる様々な半導体製造装置・周辺部品への機能性コーティングの採用実績が多数ございます。対象となる部品形状、使用される化学薬品の種類や動作温度に合わせて、最適なふっ素樹脂コーティングの仕様をご提案いたします。まずは、お気軽に当社まで技術相談・お問い合わせください。

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