CASE STUDY 製品採用事例

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CASE STUDY熱カシメ治具へのThermo Pro Release適用による樹脂付着防止と耐久性5~20倍向上の実現

2026.07.15

導入背景・課題

樹脂付着による外観不良と、コーティングの耐久性不足に伴うコスト肥大化

精密光学機器などの製造現場において、樹脂製の鏡筒にレンズをはめ込み、固定する手法として「熱カシメ」工程が広く採用されています。熱カシメとは、樹脂成形品に設けられた突起(ボス)に熱と圧力を加え、樹脂を一時的に溶融・塑性変形させたあとに冷却固化させることで、異材質の部品同士を強固に接合・固定する加工プロセスです。接着剤を使用しないため環境負荷が低く、高精度な固定が可能である一方、加熱された治具が直接樹脂に触れるため、温度管理や表面処理が製品品質を左右する極めて重要なプロセスとなります。

この熱カシメ治具を使用する中で、熱によって溶融した樹脂が治具側に引っ張られることで、カシメ部分での「樹脂の糸ひき」が発生したり、治具表面に徐々に堆積した樹脂カスが剥がれて製品へ付着したりといった現象が発生します。これらはすべてレンズ製品の「外観不良」につながり、製造ラインの歩留まりを著しく低下させる要因となるため、治具表面には離型コーティングが施されていました。

しかし、離型コーティングの摩耗・劣化により,離型性能が早期に低下してしまっていたため、頻繁にカシメ治具を交換しなければならず、生産ラインがその都度停止していました。さらに、治具の再コーティングを繰り返す必要があり、その手間と外注費用による「メンテナンスコストの肥大化」が大きなボトルネックとなっていました。このような背景から、治具の長寿命化とメンテナンスコストの低減を目指し、当社の表面処理技術へご相談をいただくに至りました。

製品提案・仕様概要

優れた離型性と圧倒的な長寿命化を両立する「Thermo Pro Release」の提案

熱カシメ工程における樹脂付着の解消と、コーティングの長寿命化という二つの課題を根本から解決するため、当社は独自の高機能離型コーティング「Thermo Pro Release(サーモプロリリース)」を提案いたしました。

Thermo Pro Releaseは、優れた非粘着性(離型性)と耐熱性、そして過酷な熱サイクルに耐えうる強固な塗膜を兼ね備えた表面処理技術です。

➤相手材に応じて離型性能をカスタマイズ
使用する樹脂種や工程条件に応じて、最適な塗膜仕様を選定します。自社配合塗料ならではの塗膜設計の柔軟性が強みとなっています。
また、当社では、熱溶着や熱カシメ工程を想定して独自に制作した離型性能評価試験機を保有しており、温度・押付荷重・接触時間・変形量など実際の熱カシメ工程をトレースして事前検証を行うことができます。

➤強靭な塗膜密着性と耐摩耗性
従来のふっ素樹脂コーティングと比べ、密着性・耐摩耗性ともに優れ、熱カシメのような大きな荷重負荷がかかる工程でも耐え抜く強靭な塗膜仕様です。従来では、熱カシメ時の高温下において相手材樹脂との相性や工程の物理的な負荷による摩耗によって短期間で離型性が低下しがちな環境でも、Thermo Pro Releaseは、長期間にわたってスムーズな離型性能を維持します。

今回は、ご使用されているカシメ治具の材質や形状、使用される樹脂の種類、およびカシメ時の設定温度などの運用条件を詳細にヒアリングした上で、最適な施工仕様を選定しました。従来のコーティング仕様では成し得なかった「高温下での優れた離型性の持続」と「摩耗に強い高い塗膜硬度」を両立させることで、治具交換の手間を減らし、安定した連続生産を可能にする仕様として試作・ご提案いたしました。

導入効果

耐久性が最大5~20倍へ大幅向上!トータルメンテナンスコストの大幅削減へ

Thermo Pro Releaseを熱カシメ治具へ適用した結果、カシメ治具のサイズや運用条件による差異はあるものの、従来の他社製コーティングと比較して5倍以上の圧倒的な耐久性の向上を達成しました。

具体的な数値としては、これまでわずか300ショットで限界を迎えていた小型の治具が4,000ショットまでノンストップで稼働可能になり、別のラインで2,000ショットが限界だった治具においても20,000ショットをクリアするなど、劇的な長寿命化を実現しました。中には、従来比で20倍近い耐久性を示した治具も見られ、現場の生産効率は飛躍的に改善されました。

➤歩留まりの大幅な向上
樹脂の糸ひきやカス固着による外観不良が減少し、製品品質が安定。

➤生産性の向上(ダウンタイムの削減)
治具の交換頻度が激減したことで、ライン停止時間が大幅に短縮。

➤トータルコストの削減
頻繁に行っていた治具の再コーティング費用や予備治具の管理コストが大幅に低下。

採用が正式に決定した際、ご担当者様からは「熱カシメの工程改善に向けて、いろいろな表面処理を試したが、なかなかうまくいかなかった。ようやくいい表面処理に出会えました」と、大変嬉しいお言葉をいただくことができました。

採用されたコーティングブランド

今回採用された「Thermo Pro Release」は、ふっ素樹脂の持つ離型性能を活かしつつ、高温環境における耐久性を特化させたコーティングソリューションです。熱カシメ工程のカシメ治具(カシメホーン)をはじめ、熱溶着やヒートシールといった高温で使用される金型や熱板などの離型用途の装置部品において、耐久性向上によるメンテナンスコスト削減・生産性向上に貢献いたします。

お問い合わせ

「現在の離型コーティングの寿命が短い」「樹脂カスによる外観不良を減らしたい」など、熱カシメ治具や金型に関する表面処理の課題がございましたら、仕様のご提案からテスト加工(試作)まで承ります。どのようなことでもお気軽にご相談ください。

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